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【イベントレポート | パーパス経営の権威、名和 高司 氏】 社員の生産性と創造性に火をつけるパーパス経営とは 【イベントレポート | パーパス経営の権威、名和 高司 氏】 社員の生産性と創造性に火をつけるパーパス経営とは
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2023.11.15

【イベントレポート | パーパス経営の権威、名和 高司 氏】 社員の生産性と創造性に火をつけるパーパス経営とは

コネクティ主催オンラインイベント「Purpose World 2023 〜サステナビリティとパーパスブランディング。持続可能なWebコミュニケーション~」のイベントレポート。パーパス経営の権威である名和 高司 氏の講演と当社代表取締役社長の服部とのクロストークをお届けします。

#サイトリニューアル#DX#デジタルマーケティング#イベントレポート#パーパス経営#サステナビリティ#パーパスブランディング

「良質なデジタルで、社会を豊かに前進させる」というパーパスのもと、クラウドCMS・CDPの提供及び、企業のデジタル戦略を支援している株式会社コネクティ。CMSベンダーという枠にとどまらず、パーパスを基軸としたリブランディングを含むWebサイトリニューアル(事例:セゾン投信様)を手掛け、日本を代表するリーティングカンパニーのデジタルコミュニケーションを推進しています。
2023年9月、パーパス経営の権威である一橋大学大学院客員教授の名和 高司 氏を招き、オンラインイベント「Purpose World 2023 〜サステナビリティとパーパスブランディング。持続可能なWebコミュニケーション~」を開催。パーパスを実践するためのイノベーションを生む次世代経営モデルについてお話いただきました。 本記事では、名和 高司 氏の講演と当社代表取締役社長の服部とのクロストークをお届けします。

アーカイブ動画では、名和 氏の講演のほか、当社取締役で「パーパス・マネジメント」著者の丹羽 真理より、企業・組織でパーパスを策定する際のポイントやステップについて、当社代表取締役社長の服部よりパーパスが社内で共鳴するためのコミュニケーション戦略について解説しています。

「Purpose World 2023」
〜サステナビリティとパーパスブランディング。持続可能なWebコミュニケーション~

「Purpose World 2022」【パーパス・マネジメント著者が紐解く】
パーパス起点の一貫したコミュニケーション戦略を実践し、効果を生み出すには

持続可能な開発目標であるSDGsは、2030年までに達成すべき課題として“規定演技“のようになりつつありますが、2030年で世の中は終わりません。私はその先の2050年を見据えた”自由演技”として「新SDGs」を提唱しています。「新SDGs」のSは”サステナビリティ“、Dは”デジタル”、Gは”グローバルズ“と捉え、その中心に”パーパス(志)”を据え、デジタルで生産性と創造性を変革、サステナビリティを実践し、分断されつつあるグローバルを繋ぎなおすという考え方です。
サステナビリティといえば最初にESGが頭に浮かぶでしょう。環境、社会、ガバナンスに配慮しない企業はリスクが多く、融資を受けることが困難になり、企業価値も下がってしまいます。17の社会課題であるSDGsは、きちんと守ればトップライン(売上)は上がりますが、ボトムライン(利益)が棄損してしまいます。それに対し、CSVは社会価値と経済価値の両軸を持ち、社会に貢献しボトムライン(利益)を上げるという考え方です。
されど、“言うは易し“。実現するには裏側で各社がイノベーションを起こす必要があります。
さて、企業は3つの市場がありますが、100歳人生となった「顧客市場」はライフシフト、人が会社を選ぶ時代となった「人財市場」はワークシフト、「金融市場」はマネーシフトをおこしており、企業経営にはサステナビリティが必須となり、その先に各社ごとのパーパスを打ち出すことが求められています。
今、社会にとって当たり前でなくても、会社独自で大切にしているものがパーパスの原型となります。トヨタ自動車はSDGsの17ゴールにはない「ワクドキ(幸せの量産)」という18枚目のカードを切り、車の生産を通し「幸せを量産する」というトヨタフィロソフィーを掲げています。
ではここから、経営としてパーパスをどのようにプロフィット(利益)に転換させるかについてお話していきます。パーパスをきちんと打ち出して、お客様に共感いただけると売上は上がりコストが下がります。これにはマーケティング、オペレーション、人財の3つの要素が関係しています。お客様への無駄なプッシュが不要となりマーケティングコストが下がり、デジタルをフル活用することでオペレーションコストを下げる。そして、最も下がるのは人件費です。パーパスを自分ごと化できると、社員の生産性と創造性に火をつき、今の人財規模で売上を2~3倍にすることもできるでしょう。これがパーパス経営の一つの大きな狙いです。

コンプライアンスリスクにおいても効果があり、社員がパーパスを自分ごと化し、誇りに思うことで、誰が見ていなくても正しいことしかしないカルチャーを作ることができます。東京ディズニーリゾート®では、「The Five Keys~5つの鍵~」という行動規準がキャストに根付いています。

また、パーパスを実践すると、ブランド資産、知恵と知識、ネットワーク価値、人財資産といった無形資産を増やすことができます。そして、この無形資産を将来のPLに転換していくことが大切です。
経営においては、長期と短期の時間軸が重要です。3年先(短期)は、為替やサプライチェーンなど、日々の動きに左右されますが、30年先(長期)は自分たちで作ることができます。ですので、30年先を見据えたパーパスから考えて、日々の仕事に向き合うことが大切です。しかしながら、パーパスは世代により関心度に差があると言われています。50~60代の社長・会長クラスの方はパーパスが大好き。20代前半のZ世代も、成功意欲よりも人の役に立ちたいという想いをもっています。しかしながら、会社に入り、日々の仕事に追われていくとその想いが消えてしまう人が多いのです。残念ながら、真面目な人ほどパーパスから離れてしまう傾向があります。そういった人に対し、パーパスを自分ごと化させ、生産性と創造性を上げることが、パーパス経営の最も大切なテーマです。
実践するための仕掛けとして、パーパスワークショップがあります。抽象的になりやすいパーパスを組織レベルに落とし込み、パーパスを社員にとって身近なものにするための取り組みです。お客様、社員、社会にとって、30年後にどんな会社になっていたいか、あらゆる制約をとって考えてもらいます。こうすることで、パーパスがキレイごとでなく、それぞれの想いに寄り添ったものになるでしょう。
パーパスは自分たちの本当になりたい姿を描くこと。「わくわくするか?」「ならでは?」「できると思うか?」と考えながら、自分の本当になりたい姿を思い描いてみてください。それができたら、自分への落とし込みです。忙しい、時間がないからと決めつけてはいないでしょうか。徹底的に見直せば、きっと無駄な時間をクリエイティブなものに変えられるはずです。最後は変革プロジェクトです。思い描いた本当になりたい姿は自分にとってのパーパスになり、自身を変革させる大きな原動力になるでしょう。
「パーパス経営」、ぜひみなさんも実践してみてください。

一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 客員教授 京都先端科学大学教授 名和 高司 氏(写真右)
株式会社コネクティ 代表取締役社長 服部 恭之(写真左)

服部:当社は企業のブランディングを含むWebコミュニケーションのお手伝いしており、パーパスを基軸にしたコーポレートサイトリニューアルを推進しています。パーパスを掲げる企業が多くなっていますが、最近はパーパス策定と策定後の実践・浸透、どちらのご相談が多いでしょうか?

名和氏:3年前は、パーパス策定がほとんどでしたが、現在は策定後の実践・浸透に関するご相談が8割を占めています。

服部:やはり、ここ数年で変わってきていますね。そういったご相談には、どのようなアドバイスをされますか?

名和氏:まず初めに、パーパスを実践・浸透させるには、丹念に根気強く継続する必要があるため、時間がかかることをお伝えしています。私が社外取締役を務めている味の素では3年かかりました。

服部:味の素様で3年ですか!3年でどのような変化がありましたか?

名和氏:味の素は本当に変わりました。エンゲージメント指数とブランド指数は右肩上がり、株価(企業価値)にいたっては3.5倍になりました。

服部:すばらしいですね。パーパスのKPIとしても、そういった指数を用いることが多いのでしょうか?

名和氏:はい。働き甲斐に通ずるエンゲージメント指数、ブランド指数、株価をKPIに設定することを勧めています。

服部:パーパス策定後、なかなか実践できないというケースもあるように思いますが、なにか具体的な事例はありますか?

名和氏:味の素では毎年パーパスアワードを開催しています。当初は、少し堅苦しい感じだったのですが、「身近にある小さなことでもパーパスとしてよい」と敷居を下げたことで、世界中の味の素グループからたくさんの応募が届き、活気づくようになりました。それぞれの活動を認証する仕掛けを作ることで、パーパスを持続的に浸透させることができています。

服部:他の企業でも実践しやすい、良いヒントになりそうですね。研修だけですと、その場限りになりやすいですが、アワードのような形式は、自発的に自分ごと化でき、エンゲージメント指数も上がりそうです。

本日は誠にありがとうございました。

一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 客員教授 京都先端科学大学教授 名和 高司 氏

東京大学法学部卒、ハーバード・ビジネス・スクール修士(ベーカースカラー授与)。 三菱商事の機械部門(東京、ニューヨーク)に約10年間勤務。 2010年まで、マッキンゼーのディレクターとして、約20年間、コンサルティングに従事。 自動車・製造業分野におけるアジア地域ヘッド、ハイテク・通信分野における日本支社ヘッドを歴任。 日本、アジア、アメリカなどを舞台に、多様な業界において、次世代成長戦略、全社構造改革などのプロジェクトに幅広く従事。2010年6月より、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授に就任、現在同校客員教授。2021年より、京都先端科学大学教授。 株式会社デンソー(2019年まで)、株式会社ファースト・リテイリング(2022年まで)、味の素株式会社(2023年まで)、NECキャピタルソリューションズ株式会社(いずれも現在も)の社外取締役、朝日新聞社の社外監査役、 インターブランド・ジャパン、アクセンチュアなど複数社のシニア・アドバイザー(いずれも現在も)。『パーパス経営 - 30年先の視点から現在を捉える』や『CSV経営戦略』など著書・寄稿多数。

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