


2023.02.07
【パーパス・マネジメント著者が紐解く】パーパス起点の一貫したコミュニケーション戦略を実践し、効果を生み出すには
ここ数年、注目度が飛躍的に高まっているパーパスですが、作りはしたものの社員に根付かず、悩んでいる企業も少なくないのではないでしょうか。本記事では、アイディール・リーダーズ株式会社 共同創業者/CHOで書籍『パーパス・マネジメント 社員の幸せを大切にする経営』の著者でもある丹羽 真理氏による講演、同氏とコネクティ 代表取締役社長・服部 恭之によるトークセッションなどから、パーパス浸透とパーパス起点のコミュニケーション実践のヒントを紹介します。
丹羽氏は、社員が幸せな組織づくりを担うCHO(Chief Happiness Officer)の立場にあります。丹羽氏はまず、「幸せに働く人であふれる世の中をつくる」という個人のパーパスを紹介。実はこれは単なる自己紹介ではなく、この後に話す内容と直結するものです。この1、2年、バズワードさながらの勢いで注目されているパーパスだが、丹羽氏はその定義を「組織の社会における存在意義であり、企業活動を通じてどんな世の中をつくり、どんな社会課題を解決したいのかを示す“WHY”にあたるもの」と解説しました。
このパーパスマネジメントには3つのステップがあり、最初のステップである「発見」(自社の存在意義を見出し、言葉を作ること)のあと、「共鳴」、「実装」へと続いていきます。共鳴のフェーズは浸透という言い方もできるが、同社では上からの押し付けの印象を避け、共感の輪が広がっていくイメージからあえて「共鳴」を採用しています。
そして3つ目のステップ、実装について。これは意思決定のあり方や戦略立案、商品開発、情報発信、人材育成なども含め、社内外向けのあらゆる施策をパーパス起点に変えていくステップであり、いわばパーパスマネジメントの本丸です。
続いて服部は、まだパーパスがない会社が策定していくにはどういった進め方がいいのかと尋ねました。丹羽氏はこれについても会社によって多様なケースがあると前置きしながら、「より多くの人を巻き込みながら作っていくのがおすすめです。なぜかというと、その過程で共鳴がかなり進むからです。策定段階から関わる人が多ければ多いほど、次の共鳴のステップは楽になりますね」と答えました。
さらに服部は、自社の社会における存在意義を考え、事業と社会の接点をパーパスに盛り込もうとすると大きなものになりがちで難しいと問題提起。これに対して丹羽氏は「パーパスにはどんな社会をつくりたいかというニュアンスが何かしら入っていることが必要ですが、必ずしも地球環境や大きな社会課題に直接結び付けなくても大丈夫です。自社の事業で社会に貢献するという話が含まれていれば問題ないと思います」と答えました。
最後に服部は、丹羽氏が講演の最後で触れた一貫性という言葉が「ものすごく大切なキーワード」だと指摘。社会から共感を得るパーパスドリブンなコーポレートコミュニケーションを実践するための答えも、この「一貫性」という言葉の中にあると語りました。また丹羽氏は、今後も多くの会社でパーパスを作る動きが出てくるだろうが、とにかくパーパスを“作って終わり”にしないことが重要だと繰り返し強調しました。
イベント最後のセッションは、服部による「パーパスドリブンなサイトリニューアルの実現方法・事例紹介」です。コネクティは主に大手企業向けにデジタルの支援を行っています。顧客はBtoC、BtoBの双方で日本のリーディングカンパニーと呼ばれる数々の有名企業をサポート。パーパスに関するところでは、企業の情報を最も伝えやすいメディアであるWebサイトにおいて、パーパスをしっかり発信するための支援に力を入れています。
続いて服部は、パーパスドリブンなコミュニケーションを実践する戦略として、Webリニューアルを例に解説を加えました。「WHY」のパーパス策定、もしくはすでにあるパーパスを「WHAT」に落とし込む作業を行わず、いきなり「HOW」のWebサイト作りから入ってしまうと、サイト全体にパーパスと照らした一貫性が生まれず、バラバラなメッセージを発信するページが乱立してしまうと指摘。だからこそ、やはりパーパスありきでストーリーラインを考え、そのストーリーに対して一貫性をもって発信する設計にしていくことが共感の醸成につながり、まさにパーパスドリブンな戦略であると語りました。
服部は最後に、このようにして構築したコンテンツを管理運用していくためのクラウドCMS Connecty CMS on Demandや、顧客分析を通じてデータマネジメントを行うCDP Connecty CDP、さらには配信のソリューションまで含めたデジタル統合プラットフォームを提供していることを紹介。コネクティのプラットフォームを活用することで、より効果的なパーパスドリブンのコミュニケーション戦略を推進できると強調し、セッションを終了しました。
【パーパス経営の権威、名和 高司 氏】 社員の生産性と創造性に火をつけるパーパス経営とは
※本記事はマイナビニュース TECH+に掲載されたイベントレポートです。