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【雛形付】失敗しないWebサイトリニューアルRFP(提案依頼書)の書き方|大企業向けテンプレート 【雛形付】失敗しないWebサイトリニューアルRFP(提案依頼書)の書き方|大企業向けテンプレート

2025.11.10

【雛形付】失敗しないWebサイトリニューアルRFP(提案依頼書)の書き方|大企業向けテンプレート

Webサイトリニューアルの成否を分けるRFP(提案依頼書)の書き方を徹底解説。なぜRFPが重要なのか、質の高い提案を引き出すための必須項目、大企業特有のポイントまで網羅。すぐに使えるテンプレート(雛形)もご用意しました。

#CMS#サイトリニューアル#DX#セキュリティ

Webサイトリニューアルプロジェクトにおいて、パートナーとなる制作会社を選定する際、あなたはどのように依頼をしますか? 口頭や簡単なメールだけで済ませていないでしょうか。

もしそうであれば、プロジェクトは失敗への道を歩み始めているかもしれません。

Webサイトリニューアル、特に大企業の複雑なプロジェクトを成功に導くために不可欠な文書、それがRFP(Request for Proposal:提案依頼書)です。

RFPとは、発注企業が自社の課題、リニューアルの目的、必要なシステム要件などを具体的に明記し、候補となるベンダー(制作会社)に具体的な提案を依頼するための書類です。

結論から言うと、質の高いRFPを作成することは、発注側と制作会社側の認識の齟齬を防ぎ、自社の課題を解決する最適な提案を引き出すための、最も確実で効果的な手段です。この記事では、失敗しないRFPの書き方を、雛形(テンプレート)付きで徹底的に解説します。

RFPと「要件定義書」の明確な違い

ここで、RFPと「要件定義書」を混同してはいけません。

RFP(提案依頼書):
発注企業(クライアント側)が作成し、ベンダー選定のために「提案」を依頼する書類です。
要件定義書:
受注側(制作会社側)が中心となって作成し、プロジェクトの具体的な仕様(作るモノ)を確定させる書類です。

RFPは、この要件定義書を作成してもらうための「土台」となる、非常に重要な文書なのです。

RFPの作成プロセスは、単にベンダーへの依頼書を作成する行為ではありません。それは、プロジェクトの目的設定や課題抽出といった、初期段階の成果を整理する、極めて重要な「社内調整」のプロセスでもあります。

手間をかけてRFPを作成することには、それを上回る大きなメリットがあります。

メリット1:社内での目的・課題の共通認識を醸成できる

RFPを作成するプロセスは、関係部署がそれぞれ抱える要望や課題を整理し、「今回のリニューアルで何を達成するのか」というプロジェクト全体の目的を、社内で統一する絶好の機会となります。この共通認識が、プロジェクト進行中のブレを防ぎます。

メリット2:各社から質の高い提案を公平に比較検討できる

RFPによって全社に同じ条件を提示するため、各社からの提案内容や見積もりを公平な土俵で比較検討できます。価格だけでなく、課題解決へのアプローチや提案の質を客観的に判断できるようになり、最適なパートナー選定に繋がります。

メリット3:プロジェクト開始後の「言った・言わない」トラブルを未然に防げる

要件や依頼範囲を文書として明確に残すことで、プロジェクト開始後の「これは依頼したはず」「その要件は聞いていない」といった認識のズレによるトラブルを未然に防ぐことができます。

効果的なRFPは、制作会社が「何を作れば良いか」だけでなく「なぜ作るのか」を深く理解できるように構成されている必要があります。ここでは、必ず記載すべき必須項目を解説します。

カテゴリ1. プロジェクト概要

プロジェクトの全体像を伝える、最も重要なセクションです。

依頼の背景と現状の課題(Why)

なぜリニューアルを行うに至ったのか、その背景と現状のWebサイトが抱える課題を具体的に記述します。「デザインが古い」といった抽象的な表現ではなく、「スマートフォンユーザーの離脱率が70%と高く、モバイルでの体験に課題がある」「製品情報が探しにくく、営業部門から顧客対応の負担が大きいとの声が上がっている」のように、定量的・定性的なデータを交えて説明すると、提案の質が格段に向上します。

プロジェクトの目的とゴール(What)

リニューアルによって何を達成したいのか、その目的と具体的なゴール(KGI/KPI)を明記します。

  • 悪い例:「顧客満足度を向上させる」
  • 良い例:「製品に関する問い合わせ件数を現状の月50件から80件に増やす」「サポートページのFAQ活用率を30%向上させ、電話での問い合わせ件数を20%削減する」

このように具体的な数値目標を示すことで、制作会社はゴール達成のための最適な施策を提案しやすくなります。

ターゲットユーザー(Who)

誰に向けたWebサイトなのかを明確にします。年齢、性別、役職といったデモグラフィック情報だけでなく、「情報収集段階の担当者」「導入を比較検討している決裁者」のように、ユーザーの状況やニーズを具体的に記述しましょう。

カテゴリ2. 要件定義(提案依頼要件)

新しいサイトに求める機能や性能を具体的に定義します。

プロジェクトの範囲(スコープ)

今回のリニューアルで提案を依頼したい業務範囲を明確にします。(例:戦略立案、デザインのみ、CMS構築まで、公開後の保守運用まで、など)

サイトマップ(案)

現行サイトの問題点を踏まえ、発注側で「こうしたい」というサイト構造の案があれば提示します。これが難しい場合でも、「必須と考える主要カテゴリ」や「重視したいコンテンツ」をリストアップすることで、ベンダーはサイト規模や構造を具体的にイメージできます。

機能要件

実装したい具体的な機能をリストアップします。

  • CMS(コンテンツ管理システム)の導入(更新したい範囲も明記)
  • お知らせ・ニュースリリースの更新機能
  • 資料ダウンロード機能
  • 会員登録・ログイン機能
  • サイト内検索機能

非機能要件

機能以外で担保してほしい性能や条件を記載します。

  • セキュリティ:常時SSL化、プライバシーポリシーへの準拠
  • パフォーマンス:主要ページの表示速度が3秒以内
  • インフラ:指定のサーバー環境(またはクラウド)での動作
  • アクセシビリティ:WCAG 2.1 レベルAAへの準拠

カテゴリ3. 提案依頼事項

制作会社に具体的に何を提案してほしいのかを明記します。これにより、提案内容の抜け漏れを防ぎ、比較検討が容易になります。

  • 課題解決のためのサイトコンセプト、戦略
  • サイト構造図(サイトマップ)の提案
  • トップページ、主要な下層ページのデザイン案
  • プロジェクト推進体制(ベンダー側の体制)
  • 詳細な開発スケジュール
  • 詳細な見積もり(項目ごとに内訳が分かる形式)
  • 公開後の運用・保守サポートの内容と費用

カテゴリ4. プロジェクトの前提条件

プロジェクトの制約条件や、発注側の体制を伝えます。

予算と納期(How much)

予算の明記は、質の高い提案を引き出すために不可欠です。リニューアル費用は、目的によって100万円以下から1,000万円以上まで10倍以上の開きがあります。予算をRFPに記載しなければ、各ベンダーから前提条件が全く異なる(例:一方は高機能なCMSを提案、もう一方は低コストのテンプレートを提案)提案が集まってしまい、「公平な評価」が事実上不可能になります。

上限となる予算や想定予算を正直に記載することで、制作会社はその範囲内で実現可能な最善の提案を考えることができます。また、希望する公開納期(例:「創業◯周年に合わせる」など)も必ず明記しましょう。

発注側の体制とプロジェクト進行方法

プロジェクトをスムーズに進めるため、発注側(自社)の体制と進行計画を明記します。

  • プロジェクト体制:プロジェクト責任者、各部門の担当者、意思決定プロセス(誰が最終決定権を持つか)。
  • 進行方法:定例ミーティングの希望頻度、主なコミュニケーション手段(メール、チャットツールなど)。

選定プロセスと基準(How to)

今後の選定スケジュール(提案締切、プレゼンテーション日、決定日など)と、どのような基準でパートナーを選定するのかを明記します。

多数の部署が関わり、グローバルに展開する大企業のリニューアルでは、上記に加えて以下の項目を盛り込むことで、より精度の高い提案を引き出せます。

Webガバナンスに関する要件:
複数部門、多数の担当者による運用を統制するための承認ワークフローや権限管理機能の詳細。
グローバル・グループサイト展開に関する要件:
多言語対応の仕様や、複数サイトのデザイン・機能を共通化するためのテンプレート設計など。
セキュリティポリシーと準拠すべき基準:
企業として遵守すべき独自のセキュリティポリシーや業界基準があれば明記する。

RFP作成の第一歩として、本記事で解説した項目を網羅したテンプレートをご用意しました。ぜひダウンロードして、貴社のプロジェクトに合わせてカスタマイズしてください。

RFPの作成は、決して簡単な作業ではありません。しかし、この初期段階での「投資」が、その後のプロジェクト全体の進行をスムーズにし、手戻りを防ぎ、最終的な成果を大きく左右します。

質の高いRFPは、貴社の課題を深く理解し、共にゴールを目指してくれる最適なパートナーを見つけるための羅針盤です。本記事を参考に、ぜひ成功に繋がるRFP作成に取り組んでみてください。



「RFPの書き方が分からない」「専門家の視点で要件を整理してほしい」など、

RFP作成の段階からプロの支援をご希望の場合は、お気軽にご相談ください。

Q1. RFPと要件定義書の違いは何ですか?

A1. RFP(提案依頼書)は「発注企業側」が作成し、ベンダー選定のために「提案」を依頼する書類です。自社の課題や目的が中心に書かれます。一方、要件定義書は、主に「受注側(制作会社側)」が作成し、プロジェクトで「何を作るか」という具体的な仕様や機能を定義する書類です。RFPは、この要件定義書を正しく作ってもらうための「依頼の土台」となります。

Q2. 予算は具体的に書いた方が良いですか?伏せておいた方が安い提案が出ますか?

A2. 予算は可能な限り具体的に記載することをお勧めします 。予算を提示しないと、各社が自社の標準的なプランを提案するため、提案内容の比較が難しくなります。上限予算を明記することで、制作会社はその予算内で実現できる最大限の価値を提案しようと努力するため、結果的により質の高い提案を引き出すことができます。

Q3. RFPはどれくらいのボリュームになるのが一般的ですか?

A3. プロジェクトの規模や複雑さによりますが、一般的にはPowerPointやWordで15〜30ページ程度になることが多いです。重要なのはページ数ではなく、本記事で解説したような「なぜリニューアルするのか」「何をしたいのか」「何を提案してほしいのか」といった要点が、制作会社に明確に伝わることです。

Q4. RFPを出せば、必ず良い提案が来ますか?

A4. RFPは質の高い提案を引き出すための強力なツールですが、それだけでは十分ではありません。RFPを送付する前に、依頼候補となる制作会社の実績や得意分野をリサーチし、自社のプロジェクトと相性が良さそうな会社を3〜5社程度に絞り込むことが重要です。良いRFPと良いパートナー候補選びが揃って初めて、最高の提案が期待できます。

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