

2025.10.07
WebサイトリニューアルのRFP作成ガイド|最適なベンダー選定を成功させる秘訣
Webサイトリニューアルを成功に導くRFPの作成方法を解説。要件定義からベンダー選定基準まで、具体的な項目とテンプレートのポイントを網羅。最適なパートナーを見つけ、プロジェクトを円滑に進めるための秘訣がここにあります。
Webサイトリニューアルは、デザインを新しくするだけが目的ではありません。「売上を120%向上させたい」「見込み顧客からの問い合わせ件数を倍増させたい」「採用応募数を増やしたい」といった、企業が抱えるビジネス上の目的を達成するための重要な経営戦略の一つです。
しかし、関係者が多く、それぞれの思惑が絡み合うWebサイトリニューアルプロジェクトは、目的が曖昧なまま進んでしまいがちです。その結果、「デザインは綺麗になったけれど、成果は上がらなかった」という失敗に終わるケースが後を絶ちません。
その成否を分ける最大の鍵こそが、Webサイトリニューアルに特化したRFP(提案依頼書)です。良いRFPは、自社のビジネス課題を深く理解し、的確な解決策を提示してくれる最適な開発会社(ベンダー)を見つけ出すための、いわば「プロジェクトの羅針盤」となります。
WebサイトリニューアルでRFPが重要な理由
- ✅目的の明確化:
- プロジェクトのゴールが明確になり、関係者全員が同じ方向を向けます。
- ✅提案の質向上:
- ベンダーは課題や要望を正確に理解し、より的確な提案ができます。
- ✅正確な見積り:
- 要件が具体的であるため、プロジェクト開始後の追加費用の発生リスクを低減できます。
この記事では、Webサイトリニューアルを成功に導くためのRFPの書き方を、具体的なテンプレート項目に沿って、初心者の方にも分かりやすく解説します。
※そもそもRFPの基本的な定義や役割について知りたい方は、まずこちらの記事をご覧ください。
一般的なシステム開発のRFPと、WebサイトリニューアルのRFPでは、重視すべきポイントが異なります。システム開発が「業務効率化」などの機能要件に重点を置くことが多いのに対し、Webサイトリニューアルでは、それに加えて以下のような特有の視点が必要になります。
- ✅ビジネスゴールとの連携:
- Webサイトがどのようにビジネスに貢献するのか、KGI/KPIを明確にする必要があります。
- ✅ユーザー体験(UX):
- ターゲットユーザーは誰で、そのユーザーにどのような体験を提供したいのか、という視点が不可欠です。
- ✅デザイン・ブランディング:
- 企業のブランドイメージを体現するデザイン性が求められます。
- ✅コンテンツ戦略:
- 既存のコンテンツをどうするのか、新しいコンテンツをどう作るのか、という計画が必要です。
- ✅SEO・マーケティング施策:
- 集客を担うWebサイトとして、SEO(検索エンジン最適化)やMAツール連携などのマーケティング視点が重要になります。
これらのWebサイト特有の要件を漏れなくベンダーに伝えるために、汎用的なRFPではなく、Webサイトリニューアルに特化したRFPを作成することが成功への近道となるのです。
それでは、具体的にRFPに盛り込むべき項目を見ていきましょう。以下の10項目を網羅することで、ベンダーから精度の高い提案を引き出すことができます。
No. | 項目 | 記載内容のポイント |
---|---|---|
1 | 背景・現状の課題 | なぜリニューアルするのか?現状サイトのアクセス数、CVR、課題点を「デザインが古い」「情報が探しにくい」といった定性的な課題だけでなく、具体的なデータと共に記述します。 |
2 | 目的と目標(KGI/KPI) | リニューアル後のゴールは何か?「ブランドイメージ向上」といった曖昧な目的だけでなく、「問い合わせCVRを1.5%に改善」「特定製品ページのPV数を30%増加」など、測定可能なKGI/KPIを数値で設定します。 |
3 | ターゲットユーザーとペルソナ | 誰に見てほしいサイトか?年齢、性別、職業、ニーズ、ITリテラシーなど、具体的なペルソナを設定し、ユーザー像をベンダーと共有します。 |
4 | 依頼範囲(スコープ) | どこからどこまでを依頼するか?戦略立案、競合調査、企画、デザイン、開発、コンテンツ作成、写真撮影、保守・運用など、依頼したい業務範囲を明確にします。 |
5 | デザイン・コンテンツに関する要望 | 伝えたいブランドイメージ、コーポレートカラー、参考にしたいWebサイトのURLなどを提示します。また、既存コンテンツの移行方針や、新規で作成するコンテンツの概要も記載します。 |
6 | 必要な機能要件 | CMS(コンテンツ管理システム)の要件(誰が、どのくらいの頻度で、どこを更新したいか)、MAツールとの連携、会員機能、検索機能、多言語対応など、必要な機能を具体的にリストアップします。 |
7 | サーバー・インフラなどの非機能要件 | 希望する表示速度、月間PV数の想定、セキュリティ要件(常時SSL化など)、対応させたいブラウザ・デバイスなどを明記します。既存サーバーを利用するのか、新規で契約するのかも伝えます。 |
8 | 予算・スケジュール感 | 公開希望日から逆算した選定・開発スケジュールの大まかなマイルストーンと、プロジェクト全体にかけられる上限予算を提示します。(難しい場合でも、概算の幅を示すことが推奨されます) |
9 | ベンダーへの依頼事項と選定基準 | 提案書に含めてほしい内容(体制図、実績、スケジュール案など)や、プレゼンテーションの有無を記載します。また、何を重視して評価するか(企画提案力、デザイン性、技術力など)を明記します。 |
10 | プロジェクト推進体制 | 自社のプロジェクト責任者、メイン担当者、関係部署(サーバー管理者など)の役割分担を記載し、ベンダーが誰とコミュニケーションを取ればよいかを明確にします。 |
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上記の10項目に加えて、特に見落とされがちですが、後々のトラブルを防ぐために必ず記載しておきたい重要事項が3つあります。
ポイント1. 公開後の運用体制と保守範囲
Webサイトは公開がゴールではありません。公開後、誰が、どのようにコンテンツを更新していくのか、サーバーのメンテナンスやセキュリティアップデートは誰が行うのか、といった運用・保守体制を事前に想定し、RFPに記載しておくことが重要です。これにより、ベンダーから公開後を見据えた運用しやすいCMSの提案や、適切な保守プランの提案が期待できます。
ポイント2. セキュリティ要件
Webサイトは常にサイバー攻撃の脅威にさらされています。個人情報を取り扱うサイトであれば、特に高度なセキュリティ対策が求められます。常時SSL化はもちろんのこと、WAF(Web Application Firewall)の導入要否、プライバシーポリシーや個人情報保護方針の策定など、自社で求めるセキュリティレベルを明記しておく必要があります。
ポイント3. 既存コンテンツやデータの移行方針
既存サイトに大量のコンテンツ(ブログ記事、ニュースリリース、製品情報など)がある場合、それらをリニューアル後のサイトにどう移行するのかは大きな課題です。「手動でコピー&ペーストするのか」「移行ツールを開発するのか」によって、工数とコストが大きく変動します。移行対象のコンテンツ量や移行方針について、現時点で分かっている情報を記載しておきましょう。
複数のベンダーから提案を受けた後、客観的かつ公平に評価するために「評価シート」を作成することをお勧めします。RFPで開示した選定基準をもとに、評価項目と配点を設定し、各社の提案を点数化することで、担当者の主観だけに頼らない意思決定が可能になります。
評価項目 | 評価の観点 | 配点 | A社 | B社 | C社 |
---|---|---|---|---|---|
戦略・企画提案力 | 課題を正確に理解し、KGI/KPI達成のための具体的な戦略が示されているか | 30 | |||
デザイン・UI/UX | ブランドイメージを体現し、ターゲットユーザーにとって使いやすいデザインか | 20 | |||
技術力・実現性 | 要件を満たす技術力があるか。CMSのカスタマイズ性や拡張性は十分か | 20 | |||
プロジェクト実績 | 同業種・同規模のサイトリニューアル実績は豊富か | 10 | |||
推進体制・サポート | プロジェクト体制は十分か。公開後のサポート体制は手厚いか | 10 | |||
コストの妥当性 | 提案内容に対して、見積もり金額は妥当か | 10 | |||
合計 | 100 |
※配点はプロジェクトの重視するポイントによって調整してください。
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Webサイトリニューアルは、多額の投資と多くの時間を要する一大プロジェクトです。その成功の確度を上げるために、RFP作成という準備段階にこそ、しっかりと時間をかけるべきです。
本記事でご紹介した10の項目と3つの重要事項を参考に、貴社のビジネス課題とリニューアルへの熱意をベンダーに伝えましょう。RFPは「ベンダーを縛るための仕様書」ではなく、「最高のパフォーマンスを引き出し、最高のパートナーと出会うためのコミュニケーションツール」です。
質の高いRFPを作成し、信頼できるパートナーと共に、Webサイトリニューアルプロジェクトを成功に導いてください。
-
Q1. RFPにデザイン案まで含める必要はありますか?
- A1. いいえ、その必要はありません。むしろ、デザインはベンダーの提案力を測る重要な要素ですので、RFPではデザインの方向性、ブランドイメージ、参考サイトなどを伝えるに留め、ベンダーからの自由な提案を促しましょう。ワイヤーフレーム(画面の設計図)まで作成して提示するのは有効です。
-
Q2. 予算が確定していない場合はどう書けばいいですか?
- A2. 予算が完全に未確定の場合でも、「〇〇円~〇〇円程度」といった概算の幅を提示することを強く推奨します。予算感が全くないと、ベンダーは提案の規模感を掴めず、非常に高額な提案や、逆に要件を満たせない安価な提案が出てくるなど、比較検討が難しくなる可能性があります。
-
Q3. 複数のベンダーから全く違う提案が出てきた場合、どう比較すればいいですか?
- A3. それこそが、RFPで事前に「選定基準」を明記し、「評価シート」を作成しておく理由です。各社の提案がバラバラに見えても、評価シートの項目に沿って点数化することで、客観的かつ公平な比較が可能になります。価格だけでなく、課題解決力、技術力、プロジェクト推進体制などを総合的に評価することが重要です。
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